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ごあいさつ

 名古屋大学は1871年に創設された仮病院・仮医学校に源流をもち、1939年には医学部と理工学部を設置する最後の帝国大学として発足しました。戦後1949年には、旧制第八高等学校(1908年設置)、名古屋経済専門学校(旧名古屋高等商業学校、1920年設置)、岡崎高等師範学校(1945年設置)が加わり、新制名古屋大学として再出発することとなります。

 戦後すぐ、国を立て直さなければならなかった時期の名古屋大学は、総合大学として誕生したばかりでした。そこには選りすぐりの「活きの良い」若手研究者たちが集い、さながら梁山泊のような様相であったと想像されます。伝統がないことを逆手に取ることにより、自由闊達な学風が生まれ、世界に類のない、質が高くオリジナルな研究が展開されていきました。この若い息吹がその次の世代に伝わり、6人のノーベル賞受賞者に代表される研究成果へと結実し、世界トップレベル研究大学へのあゆみを進めて参りました。

 誕生後発展を続けてきた名古屋大学は、現在では9学部、13研究科を擁する日本を代表する総合研究大学へと成長しております。2020年には岐阜大学と法人統合を果たし、東海国立大学機構を発足させ、以来現状に甘んじることなく、世界と伍して、国際的に卓越した教育研究、社会実装を推進する大学として次へのステップを踏み出し続けております。

 名古屋大学が目指す世界トップレベル研究大学、その最も重要な使命の一つが人材育成であることは言うまでもありません。2000年に制定された学術憲章では、勇気ある知識人を育てる、とあります。名古屋大学の最も大きな財産は、現役の学生、教職員に加えて、勇気ある知識人として社会のあらゆる場所で活躍をされている同窓生の皆さまです。
名古屋大学ホームカミングデイは、同窓生との緊密な連携強化、並びに本学の優れた教育・研究の成果を皆さまに広く発信することを目的に2005(平成17)年度から毎年開催しており、今回で20回目を迎えます。この間、コロナ禍により開催が危ぶまれる時期もありましたが、オンライン開催やハイブリッド開催等、困難がありながらも継続して実施することができましたのは、ひとえに本学の長い歴史を支えてくださった同窓生をはじめとする多くの皆さまのご支援の賜物と心から厚くお礼申し上げます。

 さて、ホームカミングデイは、同窓生を名古屋大学のキャンパスにお招きをして、在学・在職当時と比べてどれだけ変貌を遂げているか「名古屋大学の今」を知っていただくとともに、同窓生間で旧交を温め、交流をして頂こうという催しになります。年に一度、母校のキャンパスに帰ってくることを楽しみにしておられる方々は勿論、キャンパスに来られずとも名古屋大学に関心をもっていただいている方々にはオンラインでもお楽しみいただけるよう、関係者一同で準備を進めております。

 今年は「20周年」という記念すべき節目を迎えます。メインテーマを『記憶の足跡 未来への約束』とさせていただき、皆さまが抱く名古屋大学への様々な想いや記憶を辿っていただきながら大きな変化を遂げようとしている東山キャンパスの新旧の姿や風を感じていただく機会にできればと思っております。

 主な行事としましては、「名古屋大学の集い」にて、20周年を記念すべくソリスト4名をお迎えし名古屋フィルハーモニー交響楽団による「ベートーヴェン:交響曲第九番」をお届けいたします。合唱には昨年度に引き続き全日本合唱コンクール全国大会の大学職場一般部門で銀賞を受賞した混声合唱団名古屋大学コール・グランツェが登場いたします。また、今年は豊田講堂前に多数のキッチンカーが登場いたします。食に集い、旧交を温め、語らいのひとときをお過ごしいただければと思っております。コンサート終了後、アルコールも提供させていただき、僭越ながら総長ナビゲートによる「N’s BAR」と題したトークイベントも開催いたします。同窓生の皆さまと「20周年」の祝杯をあげながら、大いに語り会えることを今から楽しみにしております。

 各学部・大学院におきましても同窓生を対象とした様々な企画を、例年以上にエネルギーを注いでご用意しておりますので、オンラインで、キャンパスで、皆さまが本学に戻って来られることを心よりお待ちいたしております。

 今後とも温かいご支援とご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

令和6年7月
名古屋大学総長

杉山 直